情けは無用だ。
全ては敵だ。
俺に必要な物は、攻撃あるのみだ。
　
　
　
むむっ。
前方に敵を発見！
・・・敵は、まだ俺の存在に気付いていない。
殺るなら今だ！
俺は、右腕を操る。
右腕に衝撃が走る。
・・・手ごたえありだ。

２人目の敵を発見。
今度は、敵に気付かれた。
先手必勝！
俺の右腕が炸裂する。
敵は、先手を打たれて態勢を崩す。
今がチャンスだ！
とどめの一撃だ！

３人目の敵を発見。
今度は、手強そうだ。
俺は背後に回り込む。
作戦成功だ！。
俺の右ストレートが命中する。

４人目と５人目の敵が同時に現れる。
しまった、バックを取られた！
しかし、多少の不利は、問題ではない。
俺の愛する「ウル◯ラマン」も、毎週ピンチをくぐり抜けているじゃないか！
正面にいる敵へ右スクリューパンチ！
続け様に後方キックだ！！
態勢が崩れた。
俺の回転パンチが２人を連打する。

６人目の敵が現れた。
今度も強敵だ。
しまった、先手を取られた！
俺の腹部に鈍痛が走る。
しかし、ここで崩れる訳にはいかない。
俺は、正義の戦士なのだ。
俺は、負ける訳にはいかないのだ。
俺は、絶対に負けない。
なぜなら、俺の愛する「□△レンジャー」は、必ず最後には勝つのだから！
俺は、態勢を立て直すと、飛び蹴りを入れる。
間一髪で命中させた！
　
　
　
７人目の敵だ。
むむ、今度は女だ。
しかし、悪は絶たねばならない。
手加減は無用だ！
俺のスーパーアタックを受けてみろ！
むむっ！
よけた・・・なんと小癪な！
それでは、俺の回し蹴りを受けてみろ！

「やめなさーい！！！」

な・・・なんだ、こいつ？
くそ・・・俺としたことが、ひるんだぜ。
俺の回し蹴りを受けてみろ！！

「あかんって、言ってるでしょ！　聞こえへんの！」

そんな手に二度とひっかかるか！
よし、こうなったら、体当たりだ！

ばっちーん・・・

な・・・こ・・・この俺が・・・
な・・・なんてことだ・・・
う・・・う・・・うわーんっっっ！！

「ふーう・・・ほんまに、しゃあないなぁ・・・。」
　
　
　
女の子は、泣きじゃくる男の子を手を引いて、歩き出す。
「なあ、朝は『おはよう』って言うんやで。そんなことばっかりしてるから、友達できへんねやで。」
「だって、俺は、『ウル◯ラマン』やもん・・・うえ・・・うえ」
「ほら、一緒に絵本、見よ！　これ、面白いんやで。」
「『□△レンジャー』出てくる？」
「そんな絵本、保育園にある訳ないやんか。」
「出えへんの？」
「出えへんけど、面白いで。ほら、これ！」
　
　
　
本箱の前で、仲良く絵本を見ている２人の子ども。
とっても楽しそうです。